VR界隈では日々新しいテクノロジーが生まれていますが、今後VRを大きく変えるポテンシャルを持つテクノロジーを幾つかご紹介します。
VRが普及するためにはまだまだ乗り越えなければならない技術的な壁が存在しますが、その多くはすでに解決の目処が立っており、これらの技術が実用化されることでハイスペックPCや高速インターネット回線が必要なく、だれでも気軽にVRが楽しめる世の中になるはずです。

1. AirVR

AirVRは韓国企業が開発している、PC用VRをワイヤレス化するテクノロジーです。
PC用VRではどんなに素晴らしいモーショントラッキングで動き回れるサービスでも、ケーブルが邪魔してしまうため現状では本当に没入することは難しく、また怪我のリスクもあり大きな問題となっています。AirVRの技術を使うとWiFi経由で高解像度・高フレームレートの映像を送ることが出来るため、ケーブルが不要となりハイエンドVRの体験が劇的に向上します。
現在はGearVRのみが対象となっていますが、将来的にはあらゆるVRヘッドセットに対応可能な技術であり、Oculus RiftやHTC ViveのPC用VRコンテンツをワイヤレスで、スマホ向けの安価なVRヘッドセットでも視聴できるようになります。
ハンドジェスチャーコントローラーのサポートなど幾つか技術的な課題は残っていますが、VRの発展には欠かせない技術の一つであることは間違いないです。

2. Foveated Rendering

ハイエンドVRを体験するにはヘッドセットだけではなく高価なPCが必要になるのは周知の事実ですが、Foveated Renderingによって低スペックなパソコンやスマートフォンでもリッチな体験ができるようになる可能性があります。
VRは360°で映像を表示する必要があるため、高解像度・高フレームレートの映像を表示するためにはゲーミングPCレベルのハイスペックなPCが必要となりますが、Foveated Renderingを適切に実装すると視線の中心だけを高解像度で表示し、周辺視野で見ている領域は低解像度で処理することによってパフォーマンスを大幅に改善することが出来ます。
Foveated Renderingの実用化が進むとロースペックのGPUでも十分に高解像度・高フレームレートでVRコンテンツを体験出来るようになるため、ハードウエアへの投資が抑えられ、VRを一般ユーザーに普及させるための大きな一歩となるはずです。
今注目されているVRヘッドセットはOculus Rift、HTC Vive、Playstation VRと一式揃えるのに10万円以上かかるため一般に普及するには少しハードルが高いですが、将来的によりVRが普及するためにはFoveated Renderingで必要スペックを下げ、スマホでもリッチなVR体験を楽しめるようにする必要があるのではないかと思います。

3. Transform / Pyramid encoding

TransformはFacebookが開発したオープンソースの動画フィルターで、360°動画を球状ではなく立方体として捉えるものです。これによって動画サイズは25%縮小されます。
しかし、VR動画はHD動画の約20倍のファイルサイズが必要になるため、さらに軽量化するために開発されたのがPyramid encoding techniqueと呼ばれる新たなコーディングフォーマットで、360°動画をピラミッド形に変換することで80%の縮小が可能になります。

4. Dynamic Streaming

Dynamic StreamingもFoveated Rendering同様に自分の視野周辺だけを高解像度、それ以外の部分は低解像度で描画するという技術で、Facebookによって開発されました。
Foveated Renderingとの違いは視線追跡ではなくヘッドトラッキングで視点を検知しているので視線追跡の技術やハードウエアが必要ないというメリットがありますが、一方で現状はゲームなどではなく動画にしか適用できないなど違いがあります。
この技術はGear VRのOculus Videoアプリですでに実用化されています。

こうしてみると3, 4は共にFacebookですが、他にもOculus SDK1.3でレンダリングが間に合わなかったときのラグを軽減する「Asynchronous Timewarp」という技術を実装していたりとOculusだけではなく基礎研究でもFacebookがVR業界にとても貢献しているのがわかります。

個人的には5月に行われるGoogle I/Oで、あっと驚く新テクノロジーが発表されることを期待しています。